会社設立時の資本金

10月から仕事が重なり、バタバタしているうちに、気が付けば寒くなり、カレンダーを見るともう今年も終わろうかとしています。

そんなこんなで身動き取れずブログの更新をサボってしまいました。
スミマセン…言い訳です。

今年最後の記事になるかもしれませんが、今日は会社設立に関する手続きを依頼されたときによく聞かれる、「資本金の額」について少しまとめてみたいと思います。

資本金とは?

資本金とは、会社の原資であり、出資者から給付された財産を元に決められる、一定の額のことをいいます。

出資者から給付された財産の全てを資本金とする必要はなく、2分の1を限度に、資本準備金とすることも可能ですが、私が手続きをお手伝いした会社のほとんどが、出資者から給付された財産の全てを資本金とされています。

特に会社設立時においては、資本金が営業開始の原資となり、これを使い営業を行い、利益を確保し、会社の保有財産を増やすことが、会社の活動目的ということもできます。

保有財産が増えると出資者の保有する、会社の資産価値が上がり、出資者に対する配当など、出資者にも利益がもたらされます。

また、資本金の額は登記事項であり、法務局で誰でも確認することができます。

資本金の額の検討

資本金をいくらにしようか検討するときは、次の3点を基本とし、これにそれぞれの会社にある独特な事情を加味するようにしています。

(1)運営面からの検討

(2)税金面からの検討

(3)取引面からの検討

(1)運営面からの検討

設立当初は資本金が営業開始の原資となることから、設立から当面の運営資金とならなければなりません。

しかしながら、資金調達の方法は様々であり、資本金とは別に役員自らが会社に対して貸し付けたりすることも可能なので、絶対に資本金で運営をまかなわなければならないわけでもありませんので、次の3点から検討し、かつ柔軟に考えていいと思います。

①運営を開始するまでに必要な費用

会社設立から運営(営利活動)を開始するまでに、必要となる費用を把握し、資本金の額の検討の参考とすると良いと思います。例えば、

  • テナント賃借の保証金
  • 取引先への保証金
  • 什器・備品類の購入費用
  • 広告費用
  • 許認可取得にかかる費用
  • 商品や材料の仕入れにかかる費用

などが考えられます。

②収入確保や資金調達までに必要な費用

個人事業からの法人成りの場合を除くと、営業を開始してから初めての収入までにブランクができることが多いです。

店舗などの取引であれば、オープン当初から運用に十分な利益を確保できる来客があるとは考えにくいと思われます。事業者間の取引であれば、締日から支払日までの間が1か月程度あり、もっと長いこともあります。

金融機関から融資を受ける予定であっても、新規設立の会社であれば、申し込みから融資の実行までに、1か月はかかると思われます。

その間のテナント賃料、従業員の給与、仕入れ費用、社会保険料、光熱水費、自らの収入を賄わなければなりませんので、これらの費用と収入の見込みを把握し、資本金でどの程度を賄うかを検討すると良いです。

③許認可等の要件となる資本金

例えば建設業の許可を取得する予定であれば、設立時の資本金を500万円以上とすることで、財務要件を最初の決算までクリアすることができます。
500万円未満で設立した場合、財務要件の確認書類として、金融機関の残高証明書を提出することが一般的ですが、これは使用できる期間が短いので、許可申請の際には残高証明日を基準に手続きをすることが多いというのが実情です。

他の許可についても財務要件や、供託などを求められることがありますので、資本金の額を検討する際には重要となります。

(2)税金面からの検討

税制面から検討すると、「資本金1000万円以上で設立」「資本金を増資して1000万円以上にする計画がある」「資本金1億円超で設立」のいずれかに該当すると、納税額に差が生じます。

①資本金1000万円以上で設立すると、初年度から「消費税」の納税義務が生じます。

消費税は原則として基準期間における売上高(2年前の事業年度の売上高)が、1000万円を超える法人に納税義務があります。
新設法人は基準期間の売り上げがないので、消費税の納税義務が2事業年度免除されるのが原則です。

ただし、消費税法で「新設法人の納税義務の免除の特例」が定められており、事業年度開始の日における資本金の額が1000万円以上である法人は、消費税の納税義務が免除されないこととなっています。

したがって、資本金1000万円以上で設立した会社は、最初の事業年度から消費税を納税しなければなりません。

②資本金等の額が1000万円を超えると、「法人住民税」の均等割り額が上がります。

法人住民税の均等割り額は、赤字でも納税しなければならない税金です。納税額は事業年度終了日の資本金等の額(おおむね”資本金+資本準備金”と考えるといいと思います)を元に決められます。

この資本準備金等の額が1000万円以下の場合は、均等割り額が最低となります。

例えば、私の住んでいる滋賀県大津市で従業員が50人以下の場合は次のようになります。

資本金の額 法人県民税 法人市民税 合計
1千万円以下 22,200円 50,000円 72,200円
1千万円を超え1億円以下 55,500円 130,000円 185,500円

年間113,300円の差が出ます。

隣の京都市の場合は

資本金の額 法人県民税 法人市民税 合計
1千万円以下 20,000円 50,000円 70,000円
1千万円を超え1億円以下 50,000円 130,000円 180,000円

年間110,000円の差となります。

京都市の方が少しお得ですが、これは滋賀県の法人県民税の均等割り額に「琵琶湖森林づくり県民税」が加算されているためです。

③資本金の額が1億円を超えると、「中小企業」としての優遇が受けられなくなります。

資本金の額が1億円以下の会社は、「中小企業」と位置付けられ、税制上いろいろな優遇措置が受けられます。例としては次のようなものがあります。

  • 30万円未満資産の一括損金算入の適用
  • 交際費の控除限度額の適用
  • 中小企業者の設備投資に係る特別償却・税額控除の適用

しかしながら、新設する会社で資本金が1億円を超える会社は、特殊な事例と思われますので、この1億円の判断は通常考える必要なありません。

(3)取引面からの検討

資本金は登記事項であり、誰でも確認することができます。特に新規で設立された会社は、取引実績や収支状況を確認することができないため、資本金の額を参考にすることが多いです。

また、取引開始の要件として資本金の最低価格を決めている会社もありますので、取引先の候補があるときは事前に確認しておく方が良いでしょう。

 

まとめ

資本金の額は制限が撤廃され、資本金1円でも法人が設立できるようになりましたが、1円の資本金の会社を客観的に見た場合、ペーパーカンパニーと思われても仕方がないと思います。

しかしながら多ければ多いほど良いと言ったものでもありませんので、予定している事業や規模、自らの懐具合なども考慮し、

「なぜ資本金がこの額なのか?」

という問いに答えられるようにするのが最善策だと思います。

さまざまな思いがあっての法人設立ですので、参考にすることは多いかと思いますが、この記事が検討の一助となれば幸いです。

 

 


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